ケニア・West Pokot、Malindi

Kaneko and Associates 代表取締役である金子が、自身がボードメンバーを務めるCWS(Church World Service)の活動の一環として2023年11月末にケニアを訪問しました。

今回は前回の続きとして、West Pokot、Malindi への訪問について報告します。

前回はカクマ難民キャンプにおける難民支援について取り上げましたが、今回はWest Pokot、Malindiにおいて難民ではないケニア人の生活に関するサポートについて取り上げます。具体的には水や電気などのインフラ整備、酪農ビジネスの普及による経済的自立支援、そして女子教育の拡充・啓蒙活動等です。

West Pokot, Malindiの地において特に水や食料といった生活基盤の確立は、日々の生活だけでなく経済活動や教育に密接に関わります。これら地域では慣習的に女性が経済活動をも支える家事を行うことが期待されており、それには希少な水を集めてくることや、薪を集めてくることも含まれます。家から7kmも離れた学校からようやく帰った後、女子にはさらに長い距離を辿って水を汲み、行きよりも重い足で家に持ち帰るといった重労働が待っています。さらに、今回の訪問でも12歳ほどの少女が自分の子供を背負っているシーンを何度も見たように、早期結婚や多重結婚などが未だ支配的であり、その後は育児のためにも退学してより日々の生活のための生活を送るようになります。

このように、ある課題の解決には別の課題の解決が不可欠であったり、長い間の慣習を支えてきた価値観があったりと、多くの面で乗り越えていくべき壁が残されています。その中で、今CWSとして取り組めることに取り組んできました。

West Pokotでの活動

ケニア西部にある山岳地帯の地域で、62万人程度の人々が暮らしています。そのなかで44の共同体が政府によって公式に認識されており、バントゥ族、ニロティック族、クシティック族の話者の3つの言語グループに分類されています。信仰の多くはクリスチャンですが、イスラム教徒も一定数います。

首飾りが特徴のポコット族との写真

農業・家畜といった酪農業は経済の主要な柱であり、人口の80%以上が農業や関連する活動に従事しています。彼らの約四分の一は農耕民(「トウモロコシ人」)であり、残りは遊牧民(「牛人」)です。

面白いことに、どちらであっても経済的な豊かさは所有する牛の数で測られています。牛は物々交換や交換、さらには花嫁財産としても使用されます。男性は、女性の家族に提供する十分な数の牛を持っている限り、複数の女性と結婚することが許されています。これがポコット社会で富や資源が移動する主要な方法です。

近年CWSではWest Pokot地域では水といった生活基盤から、経済、教育といった幅広い活動に対して支援をしてきています。

全ての活動の基盤となる水

West Pokotの地は、かつては水も電気も十分に整備されていない状態でした。CWSはそういった状態から、砂ダムや井戸の建設等の活動を通して水の整備にあたっています。

West Pokotのカドコイコミュニティで行ったWater for Life projectでは、安全な水が利用可能になっただけでなく、水源までの距離が大幅に短縮されています。これにより、女性や女の子たちが水を集めるのに伴う負担から解放されています。さらにコミュニティとしても、余剰の水を売ることで家計収入を増やすこともできました。

経済的自立への一歩としての酪農

家畜を飼えば卵が売れる、バターが売れる、牛乳が売れる、といったことをまずは啓蒙し、いまや彼らの主要産業となった酪農ビジネスをサポートし、自立的にお金を稼げる環境の整備を行ってきました。さらに特殊なのが、養蜂です。West Pokot内のカチェリバ地区は気候が不安定で、干ばつや飢饉などの自然災害が多く発生します。そういった牛や山羊といった家畜を飼うには向かない地域でお金を稼ぐための方法として、養蜂による経済的自立支援も行ってきました。

女子教育の充実

West Pokotの社会において、女性は未だに公的な場での発言権を持たず、家庭内でも権威がありません。そんな彼女らに対する教育の重要性も広く認知されておらず、多くは早期結婚を近くに学校を中退しています。

そんな中、CWSは女子教育における一つの障壁であった家庭環境、さらには学校との距離といった課題を解決すべくボーディングスクールを開校し、女子が寮に滞在できるように政府に働きかけてきました。栄養価の高い食事や清潔な住環境と共に質の高い教育を受けられることにより、女子に対する教育の新しい価値観をもたらしています。

女子が安全に教育を受けられるためのボーディングスクールを開校

Malindi

ケニア南東部にある海岸地帯の地域で、その土地柄昔は貿易地点として栄えていました。現在は”アフリカのイタリア”として観光がメインの産業になっています。

海岸地域という標高の低いMalindi北部をまたぐGalana Riverは、賑やかな観光地とは離れた北部を流れています。昨年11月、大雨によりダムが決壊し、Galana Riverが大氾濫を起こし、多くの建物や道路までもが水に飲み込まれ流されました。

川の大氾濫によりテント暮らしを強いられている

5年前にもあったこの川の氾濫では農地が使い物にならなくなり、家屋を倒壊させ、マリンディとマガリニ地区で数百人のホームレスを引き起こしました。昨年はそれがより大きな規模で引き起こされ、観光に影響を及ぼすだけでなく人々にテント暮らしを余儀なくさせ、日々の生活をも脅かしています。

CWSはその中でもいち早くの復興のサポート、及び復興後の自立支援のための家畜の寄付を行ってきています。

経済的自立のためのキーとなる家畜

今回のケニアの訪問では、CWSの活動の一環としてカクマ難民キャンプ、West Pokot、Malindiの3地域を訪問し、難民支援、酪農ビジネス支援、女子教育支援の進捗状況を確認してきました。

CWSの活動は地域の人々の生活向上に大きく寄与しており、持続可能な発展に向けた取り組みが、今も進行中です。

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