はじめに
今回は、カネコ・アンド・アソシエイツ(K&A)代表取締役社長 金子信義氏に、企業成長における人材戦略の重要性、エグゼクティブサーチの活用法、そして日本における人材市場の課題と未来について、深く掘り下げたインタビューをお届けします。
弊社は、クライアント企業とのリテイナー契約に基づき、人事戦略に基づいたサーチとコンサルティングを実施することで、的確なリクルーティングをご支援しています。拠点を置く日本・北米のみならずグローバルな人材を対象としてサービスを提供しています。
インタビュアー: K&A 学生インターン
回答者: K&A 代表取締役社長 金子信義氏
エグゼクティブサーチとは? 企業の成長を支える戦略的パートナー
ーーまず、エグゼクティブサーチとはどのようなものか、簡単にご説明いただけますか?
金子信義(以下、金子)エグゼクティブサーチは、企業の成長戦略を担うタレント(人材)を探す専門家集団だと考えています。企業の成長をもたらす様々な要因の中で、もっとも重要なアセットが「人」です。そのアセットの強化を支援するために存在するのがエグゼクティブサーチファームです。
ーー通常の人材紹介とは違うのですね。
金子 人材を紹介するだけでなく、クライアント企業の成長に直結するようなポジションを埋める役割を担っています。いわば、成長戦略のパートナーとして機能する立ち位置です。
K&Aの強み:プロフェッショナルサービスとグローバル対応
ーーエグゼクティブサーチファームの中でも、K&Aならではの強みはありますか?
金子 エグゼクティブサーチというのはC-suite、いわゆる役員クラスの方々と密接にコミュニケーションする業界です。私たち自身にも、ある程度その業界や領域に関する知見が必要になります。エグゼクティブサーチの世界はセクターがかなり細分化されていて、投資に特化、セールスに特化、薬剤師・医療系に特化など、多種多様です。
その中で、弊社は特に法律事務所、会計事務所、コンサルティングファームといったプロフェッショナルサービスファームの領域に強みがあります。
また、事業会社の幹部クラス、例えば企業内弁護士やCFO、コントローラー、事業開発本部長などを担当することも多いです。もうひとつの強みとしては、海外経験のあるスタッフが揃っており、クロスボーダー案件に強いことが挙げられます。外資系企業とのやり取りでは、日本の文化と違う企業文化や価値観を理解しつつ、どのように最適な人材を送り込むかを考える必要がありますが、そこは私たちの得意分野だと思います。
ーーグローバルな視点を活かせることも強みなのですね。
金子 日本を含むアジアでの採用において、海外本社との調整が必要な場合も、弊社の語学力を活かし、本社と、直接コミュニケーションをとりながらのインタビューマネジメントが可能です。外資系企業とのやり取りでは、異文化を理解し、最適な人材を送り込むことが重要です。
クライアントとの連携:透明性とオープンな企業文化
ーー企業がエグゼクティブサーチを有効に活用するために、どのようなことが重要でしょうか?
金子 日本には数多くの人材紹介会社があります。その中で、“エグゼクティブサーチ”を行う企業は多くはなく、せいぜい20社ほどではないでしょうか?。
多くの人材紹介会社は、成果報酬型、つまり“候補者を紹介して入社が決まったらフィーが発生する”というトランザクションベースのモデルです。私たちも成果報酬体制は同じですが、そこに加え、“トラステッド・アドバイザー”としての関係構築を重視しています。だからこそ我々は、リテイナー契約を元にクライアント企業とお付き合いをしています。人材を紹介して終わりなのではなく、企業の成長を一緒に考えるパートナーとして長期的なリレーションを築きたいのです。クライアント企業には、私たちをベンダーではなく、経営のエクステンションとして捉えてほしいと願っています。
そのために大事なのは“ポジションに対する透明性”です。どうしてそのポジションができたのか、なぜ必要なのか、今まで誰が担当していたのかなど、背景にあるストーリーをしっかり共有していただくこと。それを理解した上で、サーチを行うからこそ、企業が求める人材を的確に見つけられます。私たちが提案やアドバイスをしたときにオープンに意見を取り入れていただける企業文化があると、非常にありがたいですね。
ーー企業の状況を理解することが大切なのですね。
金子 そうです。通常の人材紹介会社と違って、私たちは企業とともに成長戦略を創り上げるパートナーでありたいと思っています。
日本の人材市場:課題と変化の兆し
ーー日本全体のエグゼクティブサーチや人材市場の課題については、どう見ていますか?
金子 まず1つ目の課題は、いまだ終身雇用制度が根強く残っていることです。もちろんそれ自体が必ずしも悪いとは思いませんが、グローバルスタンダードではそうした制度は主流ではありません。特に日本企業では、外部から上級幹部を採用する文化がまだ十分に定着していないと感じます。“外部からC-suiteを採る”ことへの抵抗や慣習的な問題も大きいですね。
2つ目は、タレントプールが国内だけに閉じがちなこと。女性活躍やダイバーシティの推進なども含めて、日本は他国に比べるとまだまだ遅れている部分があります。グローバルに人材競争が行われている中で、日本企業の中には“日本人しか採らない”という意識が残っていたり、女性や外国籍の方を積極的に登用するケースが少なかったりする。そこが変わっていけば、もっと大きな可能性が広がると思います。
ーー多様性の推進が重要ですね。
金子 その通りです。一方で変化も見られます。ダイバーシティや女性活躍に関心が高まっているし、終身雇用制度が形骸化してきている部分もありますから、ジョブ型の雇用形態を導入する企業も増えました。
ーーこれまでは主にクライアント側からの視点でのお話をお伺いしました。次は50代以上の方々が自分自身のキャリアをどう捉え、どのように転職活動を進めていけばよいのか、候補者・求職者目線で詳しくお聞きしたいと思います。
*後編はこちらからご覧いただけます。