2024年9月、カネコ・アンド・アソシエイツは2024 AESC GLOBAL CONFERENCE – SINGAPOREに参加いたしました。弊社代表の金子がAPAC評議会議長を務めるAESCという団体とSingapore Conferenceについて紹介します。
AESC(Association of Executive Search Consultants)は1959年に米国で設立されたエグゼクティブサーチファームを代表する団体です。エグゼクティブサーチに関する一貫性、正確性、利益相反、忠誠心などの倫理規定の品質基準を設け、所属メンバーファームのサーチをグローバル最高水準に保つことをミッションに掲げています。
所属メンバーは、先述の倫理規定や品質水準に照らした審査を通し、グローバルのビジネスリーダーに信頼されるアドバイザーたるよう求められます。現在70カ国、1,450以上のオフィスにまたがる16,000名以上のプロフェショナルがこの認定を得て、メンバー全体で年間に10万人以上のエグゼクティブ層の発掘、プレイスメント、育成に尽力しています。
2. Singapore Conferenceの概要
AESCグローバルカンファレンスは、エグゼクティブサーチ業界における主要イベントであり、世界の主要都市で開催されています。会議の目的は、参加者がダイナミックで、ダイバーシティに富み、かつインタラクティブな環境から洞察を得ることであり、団体メンバーのみならず、ビジネスリーダーやベンチャーキャピタリスト等の非メンバーにも広く門戸が開かれています。
2024年のアジア開催は「Innovation Ignited」をテーマに、シンガポールにて9月9日、10日に開催されました。2日間の会期中には、創造性を育み業界の枠を超えた協働を促進するため以下のセッションが催されました。
- Asia on the Cusp of a New Era
- Doing Business in and with China
- Leadership in APAC: Cultivating Visionary Leadership in a Diverse Region
- Navigating the Labyrinth: Mastering Background Checks in APAC
- India’s Economic Boom: Seizing Opportunities in Executive Search and Leadership Consulting
- Cross-Cultural Leadership: Navigating Diverse Markets with Data-Driven Insights
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AI Revolution in Executive Search: Navigating the Future
- Executive Search and Leadership Consulting Profession in APAC
3.会期を通した学び
8セッションを総括し、「成長するアジアマーケット」、「AIがエグゼクティブサーチに与える影響」の、2テーマについての総括を共有いたします。
成長するアジアマーケット
今日の政治的、経済的なディスラプションの時代において、アジア地域がその舵取りを担う機運が高まっています。2024年世界GDPランキングでは、2位が中国(18兆ドル)、4位が日本(4.2兆ドル)、5位がインド(3.4兆ドル)となり、これら3国のGDPは、全体の約4分の1を占め、アジア地域の存在の大きさを示しています。さらに2024年のアジア地域の経済成長率は4.6%と予測され、世界経済成長の60%がアジア地域によってもたらされると予測されています。
このようなマーケットの成長を牽引する、アジア地域のリーダー並びにリーダーシップは多様化し、DE&Iへの意識は地域全体で高まっています。2024年1月に日本経済団体連合会が公表した「経営労働政策特別委員会報告」では、DE&Iが生産性向上および持続的な賃上げに向けた重要な柱として位置づけられており、日本でもその考え方や重要性の認識が浸透しつつあることが見受けられます。エグゼクティブ層の多様化は、組織の転換への柔軟性や敏捷性を担保する要素としても、今後より一層推し進められていくでしょう。
AIがエグゼクティブサーチに与える影響
「AI(人工知能)」の歴史は1950年代に始まり、飛躍的な進歩と共に社会に浸透してきました。ChatGPTのような生成AIの急速な普及で第4次AIブームに突入したともいわれており、エグゼクティブサーチにおいてもその意義と影響を正確に捉え、適応していくことが求められています。
今後2~4年のうちに、多くの企業でAIは対話や日常的に発生する業務の中で活用され、Chief AI Officer(最高AI責任者)といった新たな役職が定着していくことが予想されます。エグゼクティブサーチファームでも候補者のバックグラウンドチェックやクライアントとの連絡システムにおけるAIの活用が拡大する可能性があります。AIのアウトプットの正確性をコンサルタントが確認、担保することは必要不可欠であるものの、サーチプロセス中の候補者の離脱やポジションのミスマッチを減らすなどの有意性を鑑み、積極的に利活用を検証されています。
エグゼクティブサーチファームを代表するAESCのメンバーとして、カネコ・アンド・アソシエイツは人を取り囲む全ての環境に真摯に向き合い、信頼されるアドバイザーとして努めてまいります。